トマトとは、トマトの原種、名前の由来、伝播、栄養について


たくさんの文献、ホームページを参考に編集してみました。
うまくまとまりませんでしたが参考にしてください。 (^-^)/

トマト(小金瓜、畜茄)
・学名:Lycopersicon esculentum
・分類:ナス科トマト属
・原産地:中南米
・英名:tomato 仏名:tomate 独名:Tomate

トマトは植物学上の分類では、被子植物門・双子葉植物縄・合弁花亜網・管状花目・ナス科に属する多年生植物で、ナスやピーマン、トウガラシ、ジャガイモ、タバコなどと同じ仲間である。
多年生植物であるが温帯地方では冬の寒さで枯死するため、一年生となる。
一般の露地栽培では、トマトの花は初夏に咲き、開花後35〜50日で成熟し、収獲可能になる。
トマトは全体に、果実や葉・茎に特有の青臭い匂いがする。
根(地下)部は、生育初期には垂直的に伸びるが、その後水平的な伸長を強める。
結局、根は深さ1m、幅2.5〜3.0mの円錐状に分布する。
葉は互生(互い違いに出ること)の複合羽状葉で、25cmほどの大きさになる。
なお、トマトは品種によって、草丈や葉・果実の形や大きさなどが異なる。
また、果実の色も、黄色から深紅色、殆ど紫紅色のものまで幅広くある。
トマトの果実色は生育段階では緑色だが、栽培上では果実の肥大が完了することを緑熟、その時期を緑熟期と言う。
その後、花落ち(果頂)部から色づき始め、催色期(着色部30%まで)、半熟期(31〜70%)、成熟期(71〜98%)を経て、完熟期と進む。
トマトは、緑熟期以降なら植物体から切り離しても熟し、これを追熟という。
しかし、見かけは同じ様に色づいても、果実内部の栄養分を分解・消耗しながら迫熟したトマトと、栄養分を補給しながら樹の上で熟したトマトでは、味は決して同じではない。
食味テストでも追熟したものと、樹上で栄養を補給しながら熟したトマトの味は、決して同じ評価を受けず、迫熟期間が長いほど味が劣る、と言う結果が出る。

 
hanasi1.jpg

野生のトマトは世界で8種類が発見されている。

トマトの原産地はガラパゴス諸島で発見された「チスマニー」という種類を除けば南米アンデス山脈の西斜面沿いのペルー、エクアドル、ボリビアにかけての高原地帯。
ここにトマトの野生種が多く自生することから、この地帯と考えられている。
アンデス山脈の西斜面に拡がる高原地帯は砂漠のような乾燥地帯であるが、東斜面は雨の多い熱帯雨林である。
アンデス山脈の為、湿気は東側で雨となって降る。
そして、西側には乾燥した空気が流れていき、めったに雨が降らない。

「チレンセ」という野生のトマトはアンデス山脈の標高千メートルの砂漠のような地に自生する。
丈は40〜50センチ、貧弱な草姿ながら花は大きく力強い。ミニトマトよりひとまわり小さい実は皮が堅く、種がビッシリと詰まっている。
その上、有毒である。
故に食用することができない。(実は熟しても緑色)。

食べる事の出来る野生トマトはもう少し標高の低い地帯に分布している。


「ケラシフォルメ」はペルーの乾燥地から湿地までの広範囲に自生している。
こちらの実は糖度6度ほどで甘くておいしい。

hanasi2.jpg

ここで疑問点がでる。
なぜ標高の高いところの野生トマトは有毒であり、低い位置の野生トマトは毒が無く食べられるのだろうか。
毒のあるトマトの種子が低い位置へ運ばれていき、そこでトマトが発芽して、実をつけてもその実を狙う天敵となるものがいなかった為、毒が必要なくなり次第に消えていったのだ。

トマトが栽培化されたのはメキシコとされる。
メキシコにはトマトの親とされる「ケラシフォルメ」という野生植物がペルー同様に存在する上に栽培品種が多い。
ペルーもメキシコも日中の強い陽射しで土地や空気は乾燥し、夜は冷たい風が涼しくて過ごしやすい。
日本の気候風土では高温多湿でトマトには本来向かない気候といえる。

トマトはもともと、アンデス山脈の寒暖差のある土地で原種のもの。
その遺伝子は今でも引き継いでいる。
おいしいトマトを栽培する条件は「土地が、空気が乾燥している」「昼夜の寒暖の差が激しい」ことだ。
「ほとんど水を与えない」、「肥料もあまり与えない方がよい」という。
これは原種のアンデス地方の「雨が少なくて、土地もやせている」土地柄を反映している。
トマトの甘味を出すためには、逆に水を与えない、肥料をあまり与えないことがあまいトマトを育てる条件だ。
水分を与えないと逆に大地からできるだけ水分を集めようと根がしっかりと張る。
そして、空気中の水分を吸収しようと無数の産毛がはえてくる。
乾燥状態になると、乾燥状態をやわらげるために、果肉に糖分を多く含むようになる。
また、甘いトマトは水に沈めてみて重いトマトが糖度が高い。
ただし、同じ場所で作り続けているとやはり土の栄養素が不足してくるので補わなければならない。

「トマト」という言葉はメキシコのナワテル族の言葉「トマト」に由来するが食用のホオズキを意味した。
ホオズキを食していたからトマトを栽培化したと考えられる。
現在でもメキシコでは「トマテ」はホオズキ、「ヒトマテ」がトマトの呼称である。
一方でトマトの語源は中米、メキシコに栄えたアズティック文明の言葉、アズティック語のZitomatoに由来するという。Zitomatoの意味は解らない。

中南米には古くからトマトは存在していた。
トマトの原産地はペルー、ボリビア等ではあるが、ペルーでは野生トマトを食べた形跡はあっても、栽培した形跡はない。
トマトを栽培したのは、かつてメキシコに栄えたアズティック文明のアズティック人であった。
トマトを食べただけではなく、栽培した形跡がアズティック文明の遺跡、遺物からみつかっている。

どうやってトマトは世界に広がっていったのだろうか。

まず、野生トマトが自生するペルー、エクアドル等から周辺諸国とヨーロッパに伝わった。
ヨーロッパヘトマトが伝わったのは、ナポリの水夫達がペルーから持ち帰った、という説。ペルーやメキシコを支配していたスペイン人がペルーから持ち帰り、その後イタリアに伝えた、コロンブスによる航海との説があげられる。

イタリアの北西部の町ジェノバに生まれたコロンブスは1492年アジアを目的地に出港。彼の探検の援助をしたのはスペイン女王のイザベラ1世。

この後1493年、1498年、1502年、と4度にわたる大航海の中で、新大陸からヨーロッパへとトマトを持ち帰ったのではないかと。
さて、持ち帰られたトマトはタバコと同じナス科の植物であったのが鮮やかな色のため、そしてあの特有の香りのため食用としてではなく、マヤ・ペルピアーナもしくはミ・デル・ペルーと呼ばれていて観賞用植物として扱われた。
なんと見て楽しむだけのトマトの時代は1世紀以上も続いた。

この「トマト」が食用に改良され料理に使われだしたのは18世紀ごろで、
イタリアのシチリア島で大々的に栽培された。
この当時シチリア島は世界最大のトマト生産地だった。
イタリアを中心に品種改良がすすめられ、イタリア料理にはなくてはならないものになった。

ヨーロッパにトマトがもたらされた時、フランス人は「愛のりんご」とも呼び、イタリアでは「金のりんご」と名付けられた。
イギリスではトマトという語がなかなか馴染まず、「Love Apple」と呼び続けた。
ドイツにいたっては「天国のリンゴ」と呼ばれている。
イタリアではとうとう「金のりんご(pomadoro)」が本名となってしまった。
リンゴの名が付くのは、当時、りんごは野菜の不足する冬の間、野菜に代わって栄養分が取れる重要なものであった。
トマトもりんご同様、体によい食べ物としてりんごの名が与えられたのであろう。

一方、日本ではトマトを「アカナス」、「蕃茄」とも呼ぶ。
蕃茄とは元々、トマトの中国名である。
その中国では「洋茄子」と書くこともある。

トマトを日本にもたらしたのは17世紀の終わり頃、オランダ人によってとされている。
ちょうど日本が鎖国を開始し、中国・オランダ以外の国との貿易をやめて、しばらくした元禄時代頃。
日本の人口増加がとまってきた頃のこと。
しかし、ヨーロッパ同様、最初は鑑賞用の植物としての価値しか認められなかった。

江戸幕府の御用絵師、狩野深幽(1602年〜1674年)は「唐なすび」としてトマトの絵を描いている。
また、本草学者の貝原益軒(1630年〜1714年)は、その著書『大和本草』の中で「唐ガキ」として、雑草類の頁にトマトを紹介している。
熟して徐々に色をかえる、ホオズキに似た赤い実。
こうして鑑賞用としての価値しかなかったトマトが<食材>として利用されるようになったのは、初めて日本にトマトがやって来てから150年以上もたった明治維新後のことだった。
北海道開拓使がアメリカからトマトを導入し、試験栽培を行った。
日本の(食用)トマト栽培第1号は札幌農学校のクラーク博士から栽培を頼まれた秋庭三治郎という説もある。
はっきりとした記録は明治24年に出版された田中芳男他編の『有用植物図説』の中であると言われてる。
しかし、それでも一般の人の口にはなかなか合わなかった。
明治の末に出版された山田貞康著『西洋野菜の作り方と食べ方』という書物の一説に「たいていの人がトマトを見ますと、そのおいしそうな真っ赤な色に迷いまして口にまで入れますが、非常に臭みの高いのとホオズキのような味がしますので、すぐに吐き出してしまいます。が、トマトは決してそうまずいものではありませんので、少し食べ慣れてきますと、とうてい忘れることのできない一種の味があります」とある。

こうしてトマトの栽培や加工が研究され、本格的な栽培が始まったのは19世紀以降。そして、現在のように広く<食材>として普及したのは、第2次世界大戦後なのである。

一口にトマトと言ってもその品種は様々。
世界では<赤色系>のトマトが主流なのに対して、日本では桃色系のトマトが主流。
トマトを大きく分けると、果実の色からは、赤色系、桃色系、黄色系の3種類に分けられ、形からは丸玉系(桃色と赤色の2群)、ファースト系、そして、それに果肉も色も形態も色々なミニトマトがある。
生食用として初めに日本に伝わったのは赤色系トマトであったが、特有の青臭さと強い酸味のため、日本人には嫌らわれ、普及しなかった。
そのため、多くは加工用に使われた.赤色系トマトの果肉は緑熟後に果皮が黄色から赤色と変わる。
この果皮の赤変が果実内部の熟成に先行するため、赤くても果肉は未完熟のことがある。
桃色系の丸玉トマトは最もポピユラーな青果用トマトでる。
果皮は透明で、果肉は桃色(完熟すれば赤)で、追熟に光を要しない。
古くは「ひかり」「米寿Jから「ときめき」「瑞光」「ほまれ」「桃太郎」など多くの品種がある。
それぞれの味の差は大きく、また産地、栽培法、土壌などによって、美味しさに大きな差がでる。
なお、現在は完熟トマトの代名詞になった「桃太郎」が一世風靡している。
ファースト系トマトは、冬トマトの代表品種で、果実の先端がとんがっているのが特徴である。最近、品種改良により、トンガリのないものも出てきた。
これは桃色系トマトの一種で、皮が薄く酸味が少なく、今ではハウストマトの大半を占め、市場には12月頃から出回る。
ミニトマトは別名プチトマトとも呼ばれ、果実の直径が2〜3cmくらいで、野生トマトの血を引く小型のトマトの総称である。

私たちがトマトを買う時、何を観れば良いかというと、全体が丸くて重いもの、出来るだけ色づいたもの、張りと光沢があり、色つきが均質なもの、それでいてへ夕の近い部分に緑色がやや残っているものがよく、へタが元気で、切り口の鮮度の高いものが良い。
それに対して、どこか角張ったもの、大げさにいうと三角や四角に見えるトマトはピーマントマトと呼ぱれ、実と種の間に隙間があって水気に乏しく、味が悪いので、避けたほうがよい。
また、桃色種や赤色種のトマトで黄色っぽいものは、青いうちに取って、長く追熟させたものなので避けたほうがよい。

トマトの成分は、95%が水分で、タンパク質0.7%、脂質0.1%、糖質3.3%、繊維0.4%、灰分0.5%である。各種ビタミン類に官んでおり、トマト100g中のピタミン含有量は、カロチンは390μg、ビタミンCは20mgのほか、ビタミンB1が0.05mg、B2が0.03mgとなっている。
この様に、トマトはビタミンCを多く含み、これは夏野菜では最も多い量である。
また、カロチンも多く、貧血に効果のある鉄分も含み、カルシウムなどのミネラルも約15種含んでいる。
また、ビタミンEも含んでおり、このビタミンは高血圧を予防しコレステロールを抑える働きを持つ。
トマトは太陽の光を一杯受けて、ビタミンAやCを果実の中にタップリ貯め込み、健康食品となる。
だから、光を妨げると、ビタミンは減ってしまう。特に、生育後半に、トマトが大きくなる頃から、光を遮断すると、ビタミンCの減少が激しくなる。
また、甘味を示す糖の量が減り、酸味を呈する遊離酸が増える。その結果、トマトの美味しさを左右している甘酸比が低下し、まずいトマトができる。

近頃話題のトマトの赤い色の素は<リコピン>という色素。
この<リコピン>という色素はガンや動脈硬化などの生活習慣病を予防するのにたいへん効果があることが分かってきた。
活性酸素を抑え、ガン細胞の発生を防ぐ働きをする。
また、トマトはたいへん、アミノ酸などの含有量も多く、トマトソースなどの調味料としての役割も果たす。
もちろん、体内でビタミンAに変化するβカロチンも含む。
そして、カロリーは低めなのでダイエット食としての健康食品にもすぐれてる。
トマトは生で食べるばかりではない。
実際、イタリア料理にはトマトソースがふんだんに使われる。
主に赤いトマトを利用してるが、<リコピン>を多く含み、たいへんな健康食なのだ。
またトマトジュースなどは、毎日飲み続けると必要なビタミン類も補給できて、健康な生活がおくれる。
イタリア人は特に消化器官系のガンの発生率が他国と比較して低い。


参考文献、 「野菜探検隊世界を歩く」池辺誠著、文春文庫。 山田 裕二 氏 (熊本学園大学商学部経営学科基礎演習 西園寺ゼミ 平成9年度卒業論文)。  札幌市 中学校教員 森永幸夫氏 研究棚一覧 トマト。


hanasi3.jpg

参考ページ、Vege Net 100万人の野菜図鑑 , 神奈川農試 生物資源部 トマトのはなし

BACK


inserted by FC2 system